【書評】なぜ人類のIQは上がり続けているのか(ジェームズ・R・フリン)【57冊目】

概要

人類のIQの平均値は64年で20も上昇している。

統計学者スピアマンはIQの主要因子「g」と「s」を提唱した。gはgeneralの略で、自頭の良さを指す。あの人は何でもできる、というあれである。sはspecialの略で、特定の分野の才能を指す。

IQは世界中で上昇しているが、gは上昇していない。つまり、IQはsに属する特殊能力である。特に、IQは「抽象的概念」を操る能力である。

さらに、IQは後天的に上昇させることができる。世界はどんどん専門分化して、仕事の内容も抽象化が進んでいるし、スマホなど、抽象的概念を扱うデバイスが年々増え、日常的に要求される抽象能力も上昇傾向だから、IQが世界で平均的に上昇することは、仕事と日常生活によって鍛えられているためであろうと納得できる。

発展途上国のIQが低いのはその結果だと考えられる。つまり、発展に必要なIQが無いのではなく、発展がIQをもたらすのだ。

ただし、アメリカなどの先進国では、IQが低くても、アジア人であるだけで欧米人より知識詰め込み型のテストの成績は良くなることが分かっている。知識は、学習習慣によりIQとは別に鍛えられるのだ。つまり、

  • g
  • s
  • 知識

は異なる能力であることが分かった。

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