概要
ウンコな議論の正体を明らかにする。
現代社会は「ウンコな議論(bullshit)」にまみれているし、みんながそれらに騙されている。政治で、メディアで、社内会議で、ウンコな議論は繰り返されている。ウンコな議論を見破るにはどうしたらいいのだろうか?
いやそれ以前に、ウンコな議論とは何なのだろうか?
「年金未払いを謝罪しないのか?」
「人生いろいろ、会社もいろいろ、社員もいろいろで・・・」(小泉純一郎)
元総理大臣の有名な答弁だが、何を言っているかは意味不明なのに、論点をすり替えることに見事に成功している。ウンコな議論が何かは明確ではないが、こうして確かに、いたるところに存在することがわかる。
ウンコな議論とは、著者によれば以下のものである。
- ウンコな議論は嘘とは違い、偽の情報を含まない
- むしろ、発話者はその真偽に全く関心はない
- 発話者の意図は、それを聞く人の印象をコントロールし、その場をしのぐこと
- その目的のため、思わせぶりで、誤解を招く
- しばしば出来が悪く、ウンコのように口から排出されただけのものである
- 何でもその場ででっちあげるが、まるっきり嘘でないこともある
ヴィトゲンシュタイン
この本で面白いのは、各種の例示である。なかでも、ヴィトゲンシュタインのエピソードが秀逸である。