【書評】ウンコな議論(ハリー・G・フランクファート/山形浩生訳)【75冊目】

概要

ウンコな議論の正体を明らかにする。

現代社会は「ウンコな議論(bullshit)」にまみれているし、みんながそれらに騙されている。政治で、メディアで、社内会議で、ウンコな議論は繰り返されている。ウンコな議論を見破るにはどうしたらいいのだろうか?

いやそれ以前に、ウンコな議論とは何なのだろうか?

「年金未払いを謝罪しないのか?」

「人生いろいろ、会社もいろいろ、社員もいろいろで・・・」(小泉純一郎)

元総理大臣の有名な答弁だが、何を言っているかは意味不明なのに、論点をすり替えることに見事に成功している。ウンコな議論が何かは明確ではないが、こうして確かに、いたるところに存在することがわかる。

ウンコな議論とは、著者によれば以下のものである。

  • ウンコな議論は嘘とは違い、偽の情報を含まない
  • むしろ、発話者はその真偽に全く関心はない
  • 発話者の意図は、それを聞く人の印象をコントロールし、その場をしのぐこと
  • その目的のため、思わせぶりで、誤解を招く
  • しばしば出来が悪く、ウンコのように口から排出されただけのものである
  • 何でもその場ででっちあげるが、まるっきり嘘でないこともある

ヴィトゲンシュタイン

この本で面白いのは、各種の例示である。なかでも、ヴィトゲンシュタインのエピソードが秀逸である。

 

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