【書評】コンサルティングの悪魔 日本企業を食い荒らす騙しの手口(ルイス・ピーノルト)【95冊目】

概要

コンサルティング業界でパートナーまで上り詰めた者の後悔・懺悔録。

「深海、南極大陸、ピラミッド、月!」

MBAを持っていないのかとプレッシャーをかけられ、激昂して著者が叫んだ言葉。

「嘘をつく、盗む、騙す」

特に有望な若い候補者を試すために、著者が採用面接で投げかけた質問の言葉。

私が知り合ったコンサルタントは、パブリックなデータソースを利用し、「正攻法」で仕事をする人たちだったと思われるし、それほどの悪人もいなかったと思う。しかし残念ながら、著者のほうがそういった人たちの万倍も仕事ができるし、遥かに魅力的であるように思われる。

嘘をつく、盗む、騙す。海底開発と日本に興味を持ち、日本鋼管で貧乏生活を送っていた著者に、転機が訪れる。コンサルタント1年目で、著者は立派な産業スパイとなる。そして、半年ごとに、信じられないような成果を信じられないような方法で上げていく。痛快である。

賢く、何にも洗脳されずに自分の頭ですべてを考え、多言語を操り、魅力的で、異性にモテ、「真に人生を楽しむ方法」、ナイトライフの過ごし方を知っており、しこたま飲んでも翌日にはそれをおくびにも出さない。出会う人間を全て仲間にし、吸血鬼のように全てを奪い取る。

しかし、段々、何かが壊れていく。7年目に達するころ(260ページ)には、完全に壊れてしまう。

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