【書評】ストーカー加害者:私から、逃げてください(田淵 俊彦)【70冊目】

概要

ストーカー加害者の心の中を、本人の口から語らせる。

「私から、逃げてください・・・」

タイトルからしてやばい。

本書は、テレビ番組の製作者(ディレクター)が、ストーカーのカウンセラーに本物のストーカーを紹介してもらい、インタビューした本だ。

物凄く恐ろしい内容で、30ページに一回は本を閉じてしまっていた。通読するのにかなり時間がかかった。

「本当に、ストーカーは頭が狂っていたのか。」

これが、この本を読んで感じた正直な感想だ。

この本のいいところは、取材者が、本当にしつこく、加害者たちの論理の飛躍を問い詰めるところだ。加害者たちはしつこく追及されることを苦にせず、実に論理立てて、どういうロジックでその考えに至ったのかを詳細に説明してくれる。だから、我々も、その考えに至る「必然性」がなんとなくわかってしまう。この体験は、ある意味狂気の世界に我々の側から一歩近づいてしまうことを意味する。

だから読んでいて、自分の頭までおかしくなってしまうような気持に駆られる。焦燥する。だからショックを受けて、本を閉じてしまう。

この本、あまり売れてないようだが、類書は無く、マストリードであることは間違いない。

なぜなら、経済の悪化と、都会人の孤立化によって、ストーカー加害者は今後数十年増え続けるのだから。

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