【書評】セックスと恋愛の経済学(マリナ・アドシェイド)【56冊目】

概要

ブリティッシュコロンビア大学の授業の教科書。

1つ目の問題

膨大で単発的な統計的事実の羅列が多い。その事実一つからはなんとも言えないことが多い。例えば以下の統計的事実は何を意味するか?

40才の未婚女性がその後結婚する確率は、テロリストに殺される確率より低い。

字面は面白いが、何の意味があるのかは明らかではない。

2つ目の問題

セックスと恋愛と結婚を経済学的に解説しようとしているので、変数が少ない。もちろん、意図的に視野を狭くしているのだ。しかし、その結果はほとんど説得力がない。

結婚において考えられる変数は、お金と容姿である。それらの変数も、正確に計測できるために、お金と容姿に限定されている。投票で順位を決めれば、容姿も定量的変数になるのだ。例えば、この実験プロトコルに基づいて、以下の統計的事実が発見されている。

容姿下位の女性は、もし相手が同等レベルで裕福ならば、容姿下位の男性を容姿上位の男性より選好する。

つまり、チャンスに恵まれない女性は、リスクを回避し、浮気しなそうな男性を選ぶということである。

しかし、お金と容姿以上に影響のある、「価値観の一致」はどうしたのだろうか?長期的に結婚生活を成功させるためには、重要な部分で価値観が一致していなければならない。

とすれば、現実を説明するために、現実からあまりに離れてしまった理論にどうやって興味を持てばよいのだろう、ということになってしまう。

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