概要
幻想短編小説集。
29の短編が収録されている。この本は全ての短編が傑作なのだが、特に気に入ったものについて書き記しておきたい。
- 「会議」
秘密結社「会議」はメンバーで無いものが地球上に一人もいない、史上最大の会議である。その首謀者の最後の生き残りによる回顧録が始まる・・・。 - 「三十派」
キリスト教系の邪教「三十派」。彼らは蓄財を禁じ、廃墟に住み、裸体で暮らすという。ある修道士が彼らの真の目的を知り、最期に書き残そうとする・・・。この話は設定も優れているが、5ページで完結するところも天晴! - 「鏡と仮面」
王が詩人に詩を依頼する。詩人は1年に1度詩を献上し、大成功をおさめた。しかし3年目の年、何かが起きてしまう。
「頌歌は出来上がらなかったのか」「いいえ、確かにできました」詩人は悲しげに答えた。「願わくば、主キリストがそれを禁じたまえばよかったものの・・・」 - 「円盤」
“オーディンの円盤”とは何なのか?
「これがオーディンの円盤じゃ。片側しかない。この世に、片側だけしか持たぬ者は、他にひとつもない。これがわしの手にある限り、わしは王なのじゃ」 - 「砂の本」
「彼が言うには、この本は『砂の本』と言うのです。はじめのページもなければ終わりのページもない。ページの数は無限だ・・・」 - 「仮面の染物師メルヴのハキム」
常に仮面で顔を隠している男が、預言者となり絶大な権力を手にし・・・