【書評】虚無への供物(中井英夫)【51冊目】

概要

日本三大奇書の1つ。アンチ推理小説と言われる。

氷沼家殺人事件に挑む、4人のアームチェア・ディテクティブ。奇想天外な推理が絡み合い、事態は混迷を極めていく。しかし真の殺人者の胸に秘めたあまりにも悲痛な思いが読者の心を打ち・・・遂にアンチミステリを完成させる。

傑作なのは間違いない。読了後には複雑な気持ちになり、人にどう勧めてよいかわからなくなる。

作者は着想から完成まで10年を要しており、この作品を後世の作家が超えるには何らかの奇跡が必要だろうと思われる。推理小説の残酷さを、考えに考え抜いた出来である。

推理小説など、意外に人生で何冊も読めないものである。どうせ推理小説を読むのなら、容疑者Xの献身を読むより、すでに何十年も不動の地位を気付いている、日本三大奇書からのほうがいい。

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