【書評】鳶がクルリと(ヒキタクニオ)【101冊目】

概要

鳶の会社に、大企業を辞めた28歳女性が転がり込む話

狂気の桜という作品が有名なヒキタクニオ。それに比べるとかなり日常感がある小説になっている。

安定が詰まらなくなって会社を辞めた主人公は、2週間、16時間以上も眠り続ける。そして、その後も無為に一日中テレビにくぎ付けになる28歳女性。母親は彼女を心配し、親戚がやっている鳶の会社にぶち込むのである。

主人公は世間知らずの無能な若造といった感じで魅力がなく、鳶の世界に魅力を感じて読ませる小説だ。

鳶のカシラはインテリ出身のプロレタリアートだが、彼はユートピアを作ろうとしている。実際に努力は実り、東日本イチの技術力を持つ会社と評される。彼と相棒にテロリストのパラソル的なハードボイルドの魅力を感じられるかがこの作品のカギだろう。

テロリストのパラソル(藤原伊織)

そこを28歳の頭でっかち世間知らずがぶち壊しにいくのだ。

さてそのようなこれから面白くなるぞ!というところで、唐突に話は打ち切られる。なんなのであろうか。ポカーンという気分である。

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