【書評】世界の半分が飢えるのはなぜ?(ジャン・ジグレール)【22冊目】

概要

発展途上国の飢えが人災、具体的には軍政の腐敗と投機市場の暴力によるものであることを喝破する。

「好き嫌いをいうなら、アフリカの飢えている子供達にあやまりなさい」

そう言って子供を叱る親は罪深い。飢えという問題の本質を理解せず、間違った情報を利用して、未来を担うべき子供に教育しているのだから。そして、自分の間違いに薄々気付きつつ、躾がしやすいからという身勝手な理由で、それを悪用しているのだから。

子供に飢えの本当の理由を理解させようというジグレール教授の試みは、画期的である。

飢えの原因が、軍政と先進国である資本主義諸国の市場操作であることを認識していれば、アフリカに物資を補給しても、殆どは軍に略奪され、大衆に行き渡らないのがわかる。また、食料を輸入する際に、市場が変動すれば、小麦の量がレートに反比例することがわかる。誰かが儲けるために誰かが餓死するという、死のトレードが毎日公然と行われているのが資本主義社会だとジグレール教授は言う。

無責任な大人にならないために、この本を読んでおきたい。

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