【書評】肩書捨てたら地獄だった 挫折した元官僚が教える「頼れない」時代の働き方(宇佐美典也)【49冊目】

概要

エリート官僚が無計画に仕事を辞めたら極貧地獄だったが、立ち直った。

タイトル通り。スティーブジョブズに憧れて、官僚を辞めたが、無計画すぎて人が離れていき、極貧で地獄を見たと。そのあと、「挫折した元官僚」という自分ブランディングを思いつき、プライベートや人から聞いた話の切り売りで売れっ子になったという話。

それが73ページまでである。

残りはかなりどうでもいい(中身がない)話。

【書評】清貧の思想(中野孝次)【48冊目】

概要

清貧=所有を否定する思想の必然性を解説した本。

今も昔も、富を得るためには人から奪うしかない。ブラック企業の社長は社員を死ぬまで働かせる。大企業は下請け企業から搾れるだけ搾り取る。政治家だって不正献金や不正会計まみれである。だから、富める者は誰よりも奪った者で、最も醜い人間と言えるだろう。

しかし人の心は弱い。その事実を見て見ぬふりして、誰もが金持ちになりたいと思うものである。みんな搾取されながら、搾取する側になることに憧れている。それは情けないあり方ではないだろうか。

そうではない人々がいた。彼らは非所有を貫き、むしろ私財を売り払って貧しい人々に分け与えさえした。そうした人々の心の中では、どのように、精神が肉体の欲望に打ち勝ったのだろうか?著者は彼らは無理をしていたのではないと言う。そうした人々の頭の中で進行していたであろうロジックを解説し、清貧が一種の必然性を持つ思想であることを明らかにしようと試みている。

清貧自体は、アッシジのフランチェスコや、釈迦、老子など、外国にもそれを貫いた有名な人がいるある程度普遍的な思想である。

【書評】カモメになったペンギン(ジョン・P・コッター)【47冊目】

概要

組織変革の方法を解説したペンギンの寓話。

ビジョンを組織文化として定着させるにはどうするかという方法論。

  1. 問題発見
  2. ビジョンを打ち出す
  3. ビジョンを浸透させる
  4. 障害を取り除く
  5. 文化として定着させる

一番面白いのは、ビジョンを浸透させるためには、イケメンに語らせるというところ。本書に出てくるイケメンペンギンは、イケメンでありながらお茶目で主婦に人気があるというタイプである。

ブレーンとイケメン役は分かれているのが現実である。この本がユニークなのは、この現実を認めて、組織改革を「チーム」でやらなければならないとしていること。5種類の役割がある。チームは5人なのだ。

  • 独創的発案者(変人・フリーク)
  • ブレーン
  • イケメン
  • 行動派
  • すべてをまとめる真のリーダー

【書評】成長する人が実践する30のルール(大久保幸夫)【46冊目】

概要

成長する人が実践する30のルール

Amazonのレビューでは、「薄く広い」と書いてある。なるほど、確かにそうだ。

でも最初の話は面白い。仕事への習熟プロセスは、「最初は急流のいかだ下り、後半は山登り」だという例え話だ。

いかだ下り=何でもやらされて、それに全力で取り組み、スキルを増やしていくこと。10~15年。

山登り=目標を定め、じっくりと戦術を練って取り組むこと。

人生で、山はいくつも選べない。そこで、いかだ下りで見てきたいろいろな風景が役に立つと語られている。

味がある、いいたとえ話ではないか。

ほかにも、以下の章は面白い。

§1  筏下りを経て山登りに至る

§11 不安は成長の母

§13 人脈はセーフティーネット

§18 リーダーシップ=P+M理論

§23 イノベーターの7つの行動のくせ

§29 生涯2転職4学習

こんなところです。

【書評】ほとんどの社員が17時に帰る売り上げ10年連続右肩上がりの会社(岩崎裕美子)【45冊目】

概要

ある化粧品ベンチャーが、17時帰宅を徹底させた話。

時間軸は以下の通り。

  1. 広告代理店勤務
  2. 先輩の起業についていき社員1号として入社、取締役となるが、ブラック起業化し自らも退職。
  3. 化粧品会社を起業
  4. 17時帰宅を徹底させることに成功。数値目標も撤廃。
  5. 社員が暇でやりがいをなくし、士気が底に。
  6. 社訓を「挑戦」にし、評価制度を工夫し、社員のやりがいを取り戻した。

成功をアピールしたタイトルと裏腹に失敗の連続で、泥臭く、ともすれば筆者がかっこ悪く見えるくらいオープンに書いてある。しかし、ここまでさらけ出せるのはすごい人だと思う。

実際に失敗はものすごくあったのだろうし、良い環境を用意したからと言って、必ずしも経営陣と社員が一丸となってはいなかったようだ。人の心は難しい。でも、化粧品が良く売れ、会社は拡大した。

【書評】ゼロ秒思考 頭がよくなる世界一シンプルなトレーニング(赤羽雄二)【44冊目】

概要

メモの活用による思考整理法。

ゼロ秒思考とは、前もって徹底的に考えておくことで、瞬時に判断を下せるようになること。前もって考えておく段階で、メモを活用する。

人間は考えてるようで、効果的に考えられていない。とくに、もやもやを抱えたまま、言語化できず、同じような思考を堂々巡りしている場合が多い。いや、もやもやが言語化出来てすっきり出来るということにすら、気づいていない場合も多い。

著者は、以下のことを勧めている。

  1. A4の紙にとにかく思いつくままメモを書く。
    • テーマを設定し、タイトルを書き、下線を引く。
    • 本文を、思いつくまま、4~6行書く。
  2. 見返さないで、100枚くらい貯める。
    • 同じようなテーマで何度かいても良い。毎回結果は変わり、次第に固まってくる。
    • 可能ならフォルダわけだけはしておく。
  3. 振り返り期間に以下を行う。
    • メモの取捨選択。
    • メモのカテゴリわけ。
    • メモ同士の構造化。並び替える。

本手法のメリットは、以下の通り。

  1. 堂々巡りしていることに気付ける。
  2. もやもやを言語化するきっかけになる。
  3. やりやすいので、企画書など、大型の書き物のとっかかりになる。

特に、企画書などをコンピューターで書く場合には、取捨選択と並び替えが絶望的に非効率的であるが、メモならば捨てればいいし、並び替えればいい。だから、ノートではだめで、紙が切り離されていることが本質的なのだ。

斬新だと思った。人によっては当然のことが書いてあるだけだと言うと思うが、人間の思考プロセスをここまで細かく根本的に考え、しかも実行しやすい合理的な方法に落とし込んでいるのはすごいじゃないか。