【書評】ウンコな議論(ハリー・G・フランクファート/山形浩生訳)【75冊目】

概要

ウンコな議論の正体を明らかにする。

現代社会は「ウンコな議論(bullshit)」にまみれているし、みんながそれらに騙されている。政治で、メディアで、社内会議で、ウンコな議論は繰り返されている。ウンコな議論を見破るにはどうしたらいいのだろうか?

いやそれ以前に、ウンコな議論とは何なのだろうか?

「年金未払いを謝罪しないのか?」

「人生いろいろ、会社もいろいろ、社員もいろいろで・・・」(小泉純一郎)

元総理大臣の有名な答弁だが、何を言っているかは意味不明なのに、論点をすり替えることに見事に成功している。ウンコな議論が何かは明確ではないが、こうして確かに、いたるところに存在することがわかる。

ウンコな議論とは、著者によれば以下のものである。

  • ウンコな議論は嘘とは違い、偽の情報を含まない
  • むしろ、発話者はその真偽に全く関心はない
  • 発話者の意図は、それを聞く人の印象をコントロールし、その場をしのぐこと
  • その目的のため、思わせぶりで、誤解を招く
  • しばしば出来が悪く、ウンコのように口から排出されただけのものである
  • 何でもその場ででっちあげるが、まるっきり嘘でないこともある

ヴィトゲンシュタイン

この本で面白いのは、各種の例示である。なかでも、ヴィトゲンシュタインのエピソードが秀逸である。

 

【書評】ゼロ秒思考 頭がよくなる世界一シンプルなトレーニング(赤羽雄二)【44冊目】

概要

メモの活用による思考整理法。

ゼロ秒思考とは、前もって徹底的に考えておくことで、瞬時に判断を下せるようになること。前もって考えておく段階で、メモを活用する。

人間は考えてるようで、効果的に考えられていない。とくに、もやもやを抱えたまま、言語化できず、同じような思考を堂々巡りしている場合が多い。いや、もやもやが言語化出来てすっきり出来るということにすら、気づいていない場合も多い。

著者は、以下のことを勧めている。

  1. A4の紙にとにかく思いつくままメモを書く。
    • テーマを設定し、タイトルを書き、下線を引く。
    • 本文を、思いつくまま、4~6行書く。
  2. 見返さないで、100枚くらい貯める。
    • 同じようなテーマで何度かいても良い。毎回結果は変わり、次第に固まってくる。
    • 可能ならフォルダわけだけはしておく。
  3. 振り返り期間に以下を行う。
    • メモの取捨選択。
    • メモのカテゴリわけ。
    • メモ同士の構造化。並び替える。

本手法のメリットは、以下の通り。

  1. 堂々巡りしていることに気付ける。
  2. もやもやを言語化するきっかけになる。
  3. やりやすいので、企画書など、大型の書き物のとっかかりになる。

特に、企画書などをコンピューターで書く場合には、取捨選択と並び替えが絶望的に非効率的であるが、メモならば捨てればいいし、並び替えればいい。だから、ノートではだめで、紙が切り離されていることが本質的なのだ。

斬新だと思った。人によっては当然のことが書いてあるだけだと言うと思うが、人間の思考プロセスをここまで細かく根本的に考え、しかも実行しやすい合理的な方法に落とし込んでいるのはすごいじゃないか。