ショーペンハウアー哲学の矛盾1

ショーペンハウアー哲学が矛盾しているということが、多くの哲学者から指摘されてきた。しかし、ほとんどの指摘はショーペンハウアー哲学への無理解から来ているといえる。

今回は、インド哲学のヴィヴェーカーナンダによる、以下の批判を例にとってみよう。

椅子を動かすのと同一の力が、心臓や肺臓やその他のものを動かしているが、それらは意志が原因ではない。力は、それが意識の段階に上るときにはじめて意志となるのだから、その前に意志と呼ぶのは間違いである。

ショーペンハウアーにおいて、意志は力を包括する概念であると定義されている。要は定義の問題なのである。そうした思考ゲームにおいて、意志が意識の段階に上がるかどうかは何の関係もない。単に二人の間で意志という言葉の定義が違うだけであり、お互いに否定しあう必要はない。

ショーペンハウアーを理解するには、ショーペンハウアーの定義に(無理に)従わないと正しく理解できないのが、ショーペンハウアーが誤解される原因の一つなのだろう。

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