§9 詭弁

概念は、表象の表象である。

表象が直観されるものであるのに対し、概念、表象の表象は、決して直観されることは無い。

概念の本質は、関係(Relation)である。

  • 直観的な表象と直接関係する概念は具体的な概念
  • 直観的な表象と間接的にしか関係し得ない概念は抽象的な概念

と分類することが出来る。

概念は表象の表象であるが、「複数の表象」の表象である場合、普遍性を持つと形容する。こうした概念は「範囲」を持つため、その範囲を集合論的に議論し、概念の特殊化を集合の包含と同一視することが出来る。

しかし、概念の形成する論理学に興味は無い。美学の研究により芸術家になったものは一人も無く、倫理学の研究により人が高貴になったためしも無いからだ。同様に、正しい推論をするためにも論理学は必要無い。

すべての詭弁は、概念が表象の表象であることにより説明できる。章末に、「旅行する」という概念を「善」であるとも「悪」であるとも結論付けるための詭弁を、ベン図の連鎖として図解してみた。

詭弁を逃れて確実な判断を行うためには何を基礎とすればよいかを§10で論じる。

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