§51-2 抒情詩と物語詩

大きく分けて二つの詩が、イデアの描写に長けている。

片方は抒情詩で、刹那の気分を捉えてそれを歌にしたもの。もう片方は物語詩である。

真の抒情詩を読めば、何百万人もの似た境遇に置かれてきた人々の感じてきた、同じ感情をいつでも呼び起こすことができる。

抒情詩の本質は、意欲と純粋認識との錯綜である。抒情詩では、最高の奇跡、つまり認識の主体と意欲の主体との一致が再現される。

優れた叙事詩は、特異な性格の人物と、得意な状況の組み合わせである。これは、素材こそ違うが、建築術のように、素材のイデアを際立たせる詩である。

抒情詩は青年が作り、叙事詩は老人が作るものである。

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