ショーペンハウアーの哲学

§15 人間が思索出来ない理由

ごくわずかの例外を除いた全ての人間は、もともと思索向きには出来ていない。ほぼ全ての人間は思索できないのだ。

第一に、全ての人間はある最も大切な問題を故意に無視するか、迷信的な説で妥協している。その問題とは、人間の存在そのものである。人間は、なぜこのように苦悩に満ちた、それでいて夢のような存在なのだろうか?思索する人は、一度この問題に目覚めれば、他の全ての問題はどうでも良くなってしまう。逆に大多数の人間の興味の対象は今日をどうやり過ごすかだけで、無為な繰り返しの日々を送り、人生の意味については前進することはない。

第二に、人間の認識能力はもともと生存のための道具にすぎない(主著§27)。人間は貧弱な動物である。人間の耳は、騒音を遮断するようには出来ておらず施策は中断される。それは絶えず、接近者の足音を告げ知らせる。

(終)