ショーペンハウアーの哲学

§4-2 名誉欲

「賢者でも名誉欲は捨て難い」と昔から言う。名誉欲の迷妄の本質は、自分にとって直接には存在していないもののために、自分にとって直接存在しているものを犠牲にしてしまうことである。名誉欲について次のことを知っておけば、この罠に陥ることは無い。

  • 名誉は他人の頭脳の中にしかないものだから結局間接的な価値である。
  • 他人の意見は大抵われわれに影響しないものである。
  • 名誉欲の強い人間は他人が自分を褒めるのを聞きたがるものだが、面と向かっては自分を褒める人間が、陰で自分の噂をするさまを聞いたら、癇癪を起こして病気になってしまうほどである。

結局名誉欲に囚われれば、心の安静と満足という、幸福の条件を自ら失うことになる。