ショーペンハウアーの哲学

§15-3 哲学とは直観(“物自体”)の抽象化である

科学は必ず、それ以上その時点ではなぜを追求できない「隠れた特性」を仮定して、そこで立ち止まるものである。
その意味では、もろもろの現象の関係のみが科学にとっての問題である。

哲学はいかなるものも既知として前提とすることは無く、すべてのものが未知であり、問題である。
そのため、哲学はもろもろの現象、つまり「物自体」を問題にする。

したがって、科学が限界として設定するところから哲学が始まる。
(概念間の根拠の原理である)証明は哲学の基礎たりえず、明証がそれに取って代わる。

したがって、哲学はこの世界が「どこから来て」「何のために存在するか」という関係性を明らかにすることはしない。
ただ、この世界が「何であるか」を明らかにするものである。

明らかにするとは、各人の主観的な認識を、普遍的かつ抽象的な。で再構成することである。
いいかえれば、情などの直観を、永続不変の知にいたるまで高めることである。