ショーペンハウアーの哲学

§16-1 理性と悟性の二重生活 (第一巻最終章)

理性のみに従った行動は間違いである。

それは、明証をしりぞけ、証明にのみ頼る数学や、
抽象的でないものを情と言うカテゴリにくくってしまうことや、
抽象的な格率のみにしたがって杓子定規に生きる(カント批判)ことと同様に
間違いである。

人の特徴は、具体的なものと抽象的なものとの間で、二重生活を送る点にある。

時間の中で、内面的認識に対し理性をそなえていることは、
空間の中で、感覚的認識に対し眼をそなえていることにほとんど等しい。

しかし、理性的に行動することと有徳的(倫理的)に行動することの差について、
最後に指摘しておかなければならない。