ショーペンハウアーの哲学

§44 造園・静物画・動物彫刻

造園芸術が植物の美と多様性に付け加えることは少ない。むしろ植物を題材とする芸術は、静物画が主である。

静物画の題材はつまらぬものであり、その感動は主に純粋認識状態そのものからくる(§42)。題材そのものが美の味わいをもたらしてくれるのは、動物画や動物彫刻である。古代の動物彫刻は今の時代まで伝わっている。

動物彫刻においては、美的満足の客観的側面が、主観的側面に対し決定的優位を勝ち得ている(§42)。動物のイデアは種族としての特徴に基く。植物の種族としての特徴は形態に限られるが、動物の種族としての特徴は形態・動作ともに表れている。しかし、性格を欠いているために、種族の特徴は個体を特定するほどではない。

動物を直接観察するのも良い。なぜなら動物は意志の客体化であり、すなわちイデアを認識することになるからである。