ショーペンハウアーの哲学

§55-2 概念の闘技場

人間には自由意志が無く、行動は必然である。その過程が動物と異なるのは、人間においては抽象的な概念を比較検討することにより、長期的なメリットなどが考慮された決断が下せる事である。

いわば、人間は概念の闘技場であるといえる。

人間は概念を利用することで生存を有利にしたが、逆に人間の最大の苦悩も概念から生まれることになった。

例えば死は概念であるし、人に指摘されて初めて苦悩が生じる場合などは、概念の伝達された場合である。精神的苦悩から逃れるために、肉体的苦悩を自ら選ぶことさえある。例えば、悩んでいる時に頭を掻きむしる行動がこれである。