§2-2 既存の学問の限界

システムの、以下のような特性は、既存の学問では扱うことが出来ない。しかし学問を広く見渡せば、それを補完する視点が得られる。

  • 還元不可能性
  • 分割不可能性
  • 開放システム
  • レベル間移動
  • 目的論

還元不可能性

物理学は、部分や過程を切り出し、それを「盲目的な」自然法則の組み合わせで説明してきた。そのために、むしろ適用範囲を狭めてきた。

しかし、生物学では、生物を部分や過程から理解することが可能だとは考えていない。生物の部分や法則への還元は不可能である。生物は、過程を統一するオーガニゼーションであり、動的な法則に支配されている。

分割不可能性

システムは部分の総和以上のものである。例えば、システムから一部を取り出すと、それが全体の相互作用の中にあったものとは違ってしまう。システムは分割すればシステムでは無くなってしまう。分割して一部を研究することは不可能である。

開放システム

生物は常に環境との間で物質を交換し合うシステムである。物理学はこの開放システムを無視してきた。

レベル間移動

生物学的なシステムと、人間社会などの「超有機体」には、階層が違うにもかかわらず、システム同型性がある。つまり、異なるレベルの上で、同じ法則が成り立つ。このように、あるレベルからあるレベルに移しても成り立つ法則を、既存の学問は扱ってこなかった。

目的論

物理学は、目的論を避けてきた。

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