スパイラル・ラーニング・マネージメント ミュウツー育成編

はじめに

個人的な話になってしまうが、10歳年下の、失職した人に会ってきた。

久しぶりに会うその人はひどく落ち込んでいた。

「社長に詰められすぎてメンタルやられて、喧嘩別れしました」

と。

僕は人を潰してしまう詰め文化が嫌いだ。

「Hさん、ジムトレーナーじゃなくポケモンマスターになりなよ」と僕は言った。

「…?」

「人は人を指導するとき、未だ不完全なものだ。

不完全で、自信がないんだ。

そんな時、指導者は『自分のコピー』を作ろうとする。」

「…」

「でもそんなことをしてたら、100人に1人しかうまく育たない。それもタマタマだ。

ポケモンジムで考えてみなよ。

最強の岩ポケモン使いがいたとして、自分のコピーを作り続けたらどうなる?」

「…岩ポケ使いばかりになります」

ポケモン初代】攻略チャート1:ニビジムまで【赤緑青ピカチュウ ...
ニビ地方のジム

「地方のポケモンジムマスター止まりでいいなら、それでもいい。

ジムを運営するにはそう割り切るのもありだろう。

でも、そんなやり方はスターミー1匹で簡単に潰されるよ。」

ポケモンGO】スターミーのおすすめ最適技・個体値計算
星型の悪魔

「…」

「四天王やサトシがそんなやり方をしてるかい?」

「…!」

「最初に出会ったポケモンがピカチュウだからといって、ヒトカゲのかえんほうしゃを技マシンで10マンボルトに上書きしたりしないだろう?

そんなやり方では、ヒトカゲの100%は引き出せないんだよ。」

「…」

「社会人10年目の今なら、人を詰めて伸ばそうなんて奴は全員馬鹿か未熟だと自信を持って言えるね。

そんな人間はポケモンマスターになれないし、なる資格もない。

そんなことを熱く語る僕は若干ダサかったが、

「ポケモンの話めっちゃすっと入ってきました!感動しました!」

と言ってもらえた(あんまりお世辞言う精神的な余裕あるようには見えなかったので本当に感動してくれたと理解)

エンジニアにとっての学習とは

前回の記事では、一生学び続けるエンジニアとは何かについて論じた。

季節が移り変わる以上、偉そうにアドバイスをする年長者は誰一人として本当のアドバイスができないはずだ。学習者が、真実を見定める必要があるのである。

では、どのようにしてまっさらなエンジニアにそのような高度な嗅覚とサバイバル能力を身につけさせれば良いのだろうか?

モンテッソーリ教育

モンテッソーリという人がいた。彼女は精神病院で働いていたが、知的障害児を含めた子供達のステージに寄り添った教育法を提唱した。人間は精神的なステージを変化させるもので、それに合わせなければ教育は不可能だという考え方だ。モンテッソーリは教え子に制限の中での自由を追求させる。

自由を追求させることこそが教育なのだ。精神的ステージに寄り添いながら。

これは螺旋のチームマネジメントとでも言うべきもので、育成スキルっていうのは残念だが蓄積しないという前提が大切。教え子は全員性格も素質も違うので、新しい人に会うたび自分もゼロリセットしないとポテンシャルを潰すおそれがある。1人教えるたびに螺旋が一周して0になるが、自分の人間力も1上昇する。

とくに「俺みたいになれ」みたいな人がしばしばいるが、教えかたとしては最悪だし、自分を超える部下を育成することは永遠にできないだろう。最初から教え子を人間として舐めてるのだ。ミュウツーは捕獲してレベル100にするだけで最強、少なくともお前よりは強いのであり、技マシンで格闘技を教え込む必要は無い。そのミュウツーがサイコキネシスやじこさいせいを忘れたら本末転倒である。そういう人に限って部下に辞められまくって首を捻ってたりするのがこの日本社会であり明確で強烈な違和感を感じている。

自分の長所に頼った育成は甘え

よくある勘違いが、「自分は〇〇に優れているから、人を導く資格がある」という考え方だ。これは「自分には人を導く資格が無いのではないか」という不安の裏返しでもある。

違う。お前はその人を、「△△に優れている」状態にしなければいけないのだ。しかも、「△△がなんなのか」一緒に寄り添って探すのがお前の役目なのだ。お前は△△の第一人者ではないのにもかかわらず、「育成をやらせていただいている」のだよ。「人生をあずからせていただいている」のだぞ。

かえんほうしゃは出来ない

ある程度チームの人に馬鹿にされながら暮らすというのがエンジニアリングマネージャーの健全度指標である。例えばヒトカゲの人が「松崎さんってかえんほうしゃできませんよね〜」と言ってくる。できるわけねぇだろ。

メルカリ - 海外ポケモンセンター限定 かえんほうしゃ ヒトカゲ ...
無邪気にマウンティングしてくるヒトカゲ

しかし火炎ポケモンがいるだけでチームの可能性はグッと広がるし、その人が気持ちよく働いているならそれでいいのだろう。

つまらないプライドを捨てよう

お前は馬鹿にされてもいいし、教えるのが下手でもいいのである。

お前は寄り添い、成長しなきゃというプレッシャー=責任感の芽生えを呼び起こさなければいけない。お前の得意な〇〇はもう時代遅れだし、そのプライドも邪魔である。

偏狭なプライドを捨てて、部下を潰すのをたのむから辞めてくれ。

タマタマ|ポケモン図鑑ウルトラサンムーン|ポケモン徹底攻略
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