鳥羽の家

鳥羽に家を買おうと思う。

海の見える高台の、眺めの良い一軒家がいい。

庭が広く、ウッドデスクとベンチが置ける。ベンチの上には思い出の詰まったクーラーボックスを置く。クラフトビールを冷やす。海を眺めながら、のどごしの良いクラフトビールを飲むのである。

朝は野良作業をする。広い庭の一部を開墾し、毎年違う作物を作って学びたい。汗をかくだろう。

一仕事終えたら、鳥羽のイタリアンに行く。鳥羽らしくアカモクを使った塩味のパスタが楽しめる。

庭には小屋も置きたい。暖炉を楽しみたい欲求があるが、新築しない限り母屋につけるのは難しいだろうからだ。

夜になったらランタンをつけて、松坂牛を焼きたい。うまい。汗びっしょりだし、煙の匂いになってしまった。

風呂場は2階にしたい。風呂から海の眺望を楽しみたいからである。紺色に染まった夜の海を楽しむ。外から見られたくない時には、シェードを落とせると良い。

ベッドルームは静かにしたい。ベッドを一つだけ置き、余計なものは置かない。

このような理想の物件を手に入れるには、鳥羽に1週間滞在することを何度も繰り返し、地元の不動産屋と仲良くなるしかないだろう。スーモでは1件引っかかるかどうかなのである。

物件が手に入ったら、楽しみながら、理想の住居を仕上げる。デュアルライフや新幹線通勤もありだ。40歳でたて、80歳まで住むことができるだろう。老後はテラスから海を眺めて暮らすのだ。

このようなことを楽しみにして、私は翡翠の万年筆で招待状をしたためる。

そして、夕闇のウッドデッキで終生の友と積もる話をしたいと思う。