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標本平均は正規分布に従う
中心極限定理という有名な定理があります。
中心極限定理(wikipedia)
母集団の分布がある条件を満たす分布であれば、標本平均(いくつかサンプルをとって平均を取ったもの)を標準化したものは、正規分布に従う。
この定理自体は有名ですが、成り立つ理由は自明ではありません。
前提条件を外すと、中心極限定理が成り立たない分布が現れます。今回参考にした本は以下の本(p103)です。
特性関数
特性関数とは、確率密度関数をフーリエ変換したものです。フーリエ変換を考えると言うことは、必然的に複素平面上へ解析接続した関数を考えることです。(複素関数入門p17-p48:解析接続)
e^{itx}のべき級数としての収束半径は∞なので、フーリエ変換してフーリエ逆変換すればもとの確率密度関数が得られます。つまり、確率密度関数と特性関数はフーリエ変換で1対1対応です。しかもフーリエ変換はヒルベルト空間上の線型作用素です。
中心極限定理の証明
標本平均は、確率変数の線型結合です。確率変数の線型結合は、必ず畳み込み積分になります。
しかし、実は特性関数で考えると、もっと単純になります。
なんと積に。
標本平均を足し算だと考えると、特性関数を次々とかけていくことに相当します。
フーリエ変換が線型作用素なので1/nはそのまま持っていけます。
標本平均を標準化して、平均0かつ分散1にします。標準化してから標本平均をとっても良いです。
このとき、標本平均はn->∞で2次式になります。
よって、上の積の式は
これを逆フーリエ変換すると正規分布。つまり、標本平均の標準化は正規分布に従います。特性関数を使うと、こんなに簡単になります。
ただ、そのためには、複素関数論とフーリエ変換を勉強するという下準備をする必要があります。
フーリエ変換による関数の1:1対応
また、最後の正規分布がフーリエ変換・逆フーリエ変換で不変であるという事実は、量子力学で「波束の安定性」として知られているものなのです。この本は非常に面白いです。
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