AIを一生の仕事にするためにしなければならない10 のこと

36歳、物理からAIに転向して8年になります。東大の学生たちにアドバイスを話した日の夜、自分が東大入学時に生協で買った本を思い出しました。

中谷さんが37歳の時に学生向けに書いたそうです。

「とにかく勉強しろ」の一点張りで、中谷さんは演劇論・映画論専攻ですが、

  • 月に160時間の授業
  • 月に100本の映画のノルマ。150〜200時間
  • 授業中は出来るだけ本を読む内職。最高記録は90分に10冊。

過労死ライン超えの勉強が功を奏し博報堂入社・俳優にもなりました。AIにも当てはめられそうです。

すごいやつに会う。

僕にとってのAIの「すごいやつ」はT先輩です。これは僕の胸にしまっておきます。

①曲がりくねりながら、決心を固める。

AIの勉強を、すぐにやめてしまう人がいます。

それは通過点。何度も挑戦し、高い壁に阻まれ、迂回し、自分にできることを探し、とるべきポジショニングに仮説を持ち、次第に決心が固まっていくと思います。

自己啓発でよくある「原体験」や「北極星」が必要です。

②機械学習しないのも、人生の選択だ。

機械学習をマスターするのには2〜5年かかると思います。なんとなく、収入が上がりそうだから、カッコいいからという動機で注ぎ込むにはあまりにも大胆な投資です。

イヤイヤ勉強するのは時間の無駄です。

何もしないのも、勇気です。

他のカッコいいことをしましょう。

③一生勉強する覚悟をする

もちろん一生勉強する人は市場価値が上がり、陳腐化で市場価値が下がるのを防げます。ですがこれはもっとパッションのある言葉です。子曰く

之を知る者は、之を好む者に如かず。
之を好む者は、之を楽しむ者にに如かず。

『論語』雍也

「データサイエンティストやAIという言葉に踊らされ、イヤイヤ勉強し続ける人生」は最悪です。

果たしてあなたは、『仕事や学校をクビになっても自主的に勉強し続けてしまうほどのAI好き』なのでしょうか。

④質より量

機械学習には、「モデルの質よりデータの量が汎化性能を決める」という理論(VC次元)があります。

人間の学習も同じで、視野が狭いと過学習し、伸び代が低くなります。

⑤宿題を忘れない。

なぜか宿題をやらない人がいます。

今すぐ、データサイエンティストになるのを諦めた方がいいです。

結局勉強とは独学で、宿題が唯一の師の言葉なのです。

⑥遠回りな理論の勉強をする

機械学習を勉強して、ラクして年収を上げたい人はたくさんいます。

  • 機械学習にルベーグ積分って必要?
  • 初手LightGBMすれば理論はいらない

など言い訳ばかり。一生やるなら、全てを勉強する必要があるに決まっています。

⑦どんなに楽しそうなことでも、ひとたび仕事にするとつらい。

プロとアマの差は、古典理論に精通しているかだと言います。その修行は地味でつらいです。

仕事にはノルマがあります。例えば年間100本論文を読む。つらいです。

⑧古典を読む。

物理ではアインシュタインが一番です。相対性理論も、ブラウン運動も、本人の解説が最もわかりやすいです。

機械学習の古典は、

を読みましょう。

⑨線を引きながら読む

PDFに線を引く、Macの「プレビュー」の機能がおすすめです。

落合陽一フォーマットを使った整理もおすすめです。

  • どんなもの?
  • 先行研究と比べてどこがすごい?
  • 技術のキモはどこ?
  • 有効性の検証方法は?
  • 議論はある?
  • 次に読むべきは?

⑩身を切る芸が身を助く

以下は金を惜しまず買うべきです。一生がかかっています。

  • GPU
  • 洋書の古典
  • 大学院の学費
  • カンファレンス費用
  • ドメイン知識

なんもわからん

種田山頭火に「分け入っても 分け入っても 青い山」という俳句があります。

File:20180520紫金山登山道04.jpg - Wikimedia Commons

機械学習を勉強し続けると、なんもわからなくなります。

知らんことはほとんどないが、
なんもわからん

そう思えて、ようやく一人前です。

皆様の、幸せなAIライフをお祈りしております。

リファレンス

すごいやつに会う。
→1章「すごいやつに会う。」

①曲がりくねりながら、決心を固める。
→40章「深夜歩いて帰ってきた最長記録を作る。」

②機械学習しないのも、人生の選択だ。
→12章「自分が本当に勉強が好きか、冷静に考える。」

③一生勉強する覚悟をする
→7章「どんなに飲んで帰っても、とりあえず机に向かう。」

④質より量
→14章「好きなものは、量をこなす。」

⑤宿題を忘れない。
→19章「宿題を忘れない。」

⑥遠回りな理論の勉強をする
→20章「実践だけでなく、セオリーを学ぶ。」

⑦どんなに楽しそうなことでも、ひとたび仕事にするとつらい。
→23章「自分の専門分野の古典を学ぶ。」

⑧古典を読む。
→23章「自分の専門分野の古典を学ぶ。」(同上)

⑨線を引きながら読む
→46章「本を読んだら、他人が引かないところに線を引く。」

⑩身を切る芸が身を助く
→37章「一冊3万円以上する本を買う。」

なんもわからん
→?章

追加予定
内職する
→?章