大きなことをするためには、それなりの準備が要る。工事現場での下積みが彼の合理的・建設的な思考を育んだ。

僕はうだつの上がらないおじさんのYouTubeが見たい。

安定と引き換えに、矢のように過ぎ去った半生。これで良かったのだろうか。


僕の通った開成高校には”棒倒し”があった。僕は重くてつらい棒持ち(座衣・ザゴロ)。カッコよくてモテるのは上乗り

防衛大学 開校祭「棒倒し」 | 佐藤かほりブログ「かほりの香り」
防衛大・図解棒倒し

棒倒しは社会の縮図。

会社では社長が棒倒しの上乗り。華々しいが危険。でも、上乗りがビビってたら、みんなの士気は下がる。社長は社員を食わせ、弱音を吐かず、神輿に乗りつづける。

新規事業開始のお知らせ | 株式会社スリーキャニオン

僕はザゴロ、もとい<研究所長>をしている。といっても博士号もなく研究者はできないので、その周りの整備(庭掃除など)をしている。

頭を抱えて悩んでいる人のイラスト(男性) | かわいいフリー素材集 いらすとや

<研究所>の実績は城の土台のブロック3個。(最初の1年で7リリースし、3ヒット。)

レゴで図示するとこんな感じだ。

Amazon | レゴ (LEGO) キャッスル 王様の城 7094 | ブロック | おもちゃ

成果を挙げピラミッドの基石として埋もれていくのはわるくない。

ウナス王ピラミッド玄室[26140000213]の写真素材・イラスト素材|アマナイメージズ

組織作りも板についてきた。でもなにかモヤる。


マネージャーの仕事は、問題解決して働きやすい環境を作り、さらに会社の事業機会を増やす事。私は徹せる。

でもたまに、外の世界がキラキラする気がする。

好きなことで、生きていく - YouTube - YouTube

今世界を汚染する「インターネットカッコよくなってしまった問題」。

自撮り・セルフィーのイラスト | かわいいフリー素材集 いらすとや

TikTokやYouTubeを開けば、美男美女(加工済)面白い起業家お金持ちラクな勉強法派手なコンテンツばかり。

なかでも起業家像は実態とかけ離れている。管理職もそう。インターネット上には、上下の板挟みでうだつの上がらないオッサンの場所は無い。

ピラミッドの基石の隙間から外を覗くと、ロゼッタストーンのような人々が肩で風を切って歩いている。GAFAのロゼッタストーンは世界に4つしかないんだぞ。

インターネットを見ていると、眩いハッタリに目が眩む。僕たちは萎縮する。


自分を嘘で塗り固め、騙す側に回るか。奇抜な格好でもして、起業家ぶるか。空虚なウケ狙いを繰り返すTwitter芸人にでもなるか。でも私欲のために同僚を裏切り、社長の恩を仇で返すようなことはしたくない。自分に嘘をつくなんてダメだ。

僕は組織の力を信じる。ザゴロはザゴロ、自分を殺して事業や組織を創る。そうでなくては大きい仕事は出来ない。でもピラミッドの奥までは、光は差し込まない。

555.55カラットの世界最大級のダイヤが競売へ、暗号通貨も受付(Forbes JAPAN) - Yahoo!ニュース

飾らなくてもカッコいい真のロックスターはいる。

  • マイケル・ジョーダンは野球に挫折しやめた。
  • スティーブ・ウォズニアックはジョブズに散々騙され、お金をとられた。
  • モーツァルトは長らく無職で、義母に怒られながら作品をかいていた。

さすがに彼らは正真正銘のロゼッタストーンだろう。僕は彼らのよう輝きを放てるだろうか。


専門職系管理職に限らず、実は管理職のおじさんは同じような悩みをかかえている。

管理職がつらいのはどんな組織も同じのようだ。田坂氏は「日々起こる問題・被害・軋轢は観世音菩薩。感謝して殉じろ」と語る。やはり戦争を知らない我々世代の管理職はメンタル豆腐なのだろうか。

それとも、そんな不安がやはり昭和の管理職を今や許されないハラスメントに駆り立てていたのだろうか。


組織というピラミッドをデカくしながら、根元で動力石として一隅を照らし、エナジーを組織の隅々に行き渡らせながらも、カッコよくなりたい。


僕はカッコ悪い。ロゼッタストーンどころか頑固なちっちゃな石ころだ。

例えば論文読み。僕は学生より論文が読めない。

部下には学生も多いがみんな知っている。

それでも論文にあたり、解説記事は絶対に読まない。


それはつまらないこだわりかもしれない。が、一寸の虫にも五分の魂という。

僕はあらゆるスマートな教育コンテンツはにせものだと確信している。

なぜならそのわかりやすさは、その先生が努力して身につけたものだからだ。人には人のやり方があり、怠けて猿真似しても身につかない。「ほんものの勉強」は、転びながら傷つくプロセスそのものだ。

怪我をしている男の子のイラスト | かわいいフリー素材集 いらすとや

泥だらけがいい。やはり、俺は、一個の石なのだ。これがうだつの上がらないちっぽけな俺だ。


自分という石ころを目の前に置いて、こうして眺めるのは奇妙な気持ちだ。

この人は何をしているのだろうか。なぜこんなに頑固なのだろうか。みすぼらしくはないだろうか。どこに向かって忙しく飛んでいるのだろうか。この石は誰に投げられ、どこへ向かうのだろうか。世界にはどれだけ石ころがあるのだろうか。


そしてどれだけの石ころが、他人に理解されることを切望しているだろうか。

僕はその寂しさを理解している。


石ころが社会に受けいられる道はひとつしかない。徹底的にわかりやすく、派手に、盛りまくることだ。

この国には大学院生は理解されないことで真価が発揮されない、という人がいる。

頭を使わずに、分かるように話せという偉そうなやつらがいる。

それでは今からコミュ力を上げて、市場価値を上げましょう。

そんなのクソ喰らえ、だ。


君のレベルを下げてはいけない。

君にしか出来ないことをやって欲しい。どんなに難しいことをやっていても、俺が理解する。

僕に会えば、君の理論の理解者は世界にひとりだけ増える。

石ころ達にメッセージを送る。理解されないことをやれ、だ。

理解されないことに疲れているだろう。でも理解されないことを恐れるな!俺が+1はするよ。

ごろごろする猫のイラスト | かわいいフリー素材集 いらすとや

全ての研究ははたからみたら何のためにあるかわからない。それは世間にとっては石ころのようなものなのかも知れない。石ころが地球にあることにそんなに意味はないかも知れない。でも全く意味がなければ僕たち<研究所>が産まれた意味は、ない。だからしばらくは、この動画もここに放置しておこう。さざれいしの、いわおとなるまで。


僕はうだつの上がらないおじさんのYouTubeが見たい。


補足