ショーペンハウアーの哲学

§46 彫刻と悲鳴(ラオコーン論)

ラオコーンは神々に罰を受け、大蛇に絞め殺された。このような状況では悲鳴を上げざるをえないのに、ラオコーン像は悲鳴を上げていない。この問題は、ずっと議論されてきたが、我々の理論では単純だ。

芸術には各々限界がある。絵画や彫刻は美を損なわずには悲鳴を表現出来ないから、ラオコーン像は悲鳴を上げていないのである。