概要
正規分布の3次モーメントの楽な計算法。
大学2年生の2学期に、「物理数学」という授業で習った方法。職場であまり知られてなかったのでメモ。
ただし厳密には微分形式の可積分性(高次元の微分同士の交換可能性と、無限遠点で積分核が0に収束すること)を仮定する必要がある。
本題
1次元正規分布を
とする。1次・2次モーメントの積分は簡単で、次のようになる。
3次は次のように、2次モーメントの両辺をμで微分する。
ゆえに、
となり計算が完了しました!
なぜ物理?
物理だとどこで出てくるかというと、統計力学が多いです。熱力学の温度=1/βは2σ^2に一致します。そして、正規分布は、古典力学の上のカノニカル分布として登場します。エネルギーが運動量の2次式だからです。
で、熱力学だと「温度で微分」することが多いのです。よってμ微分やσ微分が多用されます。また、自然界は冒頭の数学的大前提を満たしてくれることが多いです。
おまけの裏技
平均値周りの3次モーメント(歪度)はどう計算したらいいのでしょうか?Eは線形関数なので3次式を展開すればいいのですが、実はμ=0を代入すればいいです。
なぜこれが成り立つのか?平均値周りのモーメントは、積分範囲が無限なので、分布全体をx軸方向に平行移動しても不変です。分布の形は平行移動で不変という、ある意味当たりまえの話です。解釈次第では、
「物理量は平行移動に関して不変でなければならない」
からだと言えるかもしれません。(相対性原理:「物理量は座標変換に関してテンソル」)
だから、平均値周りのモーメントは、原点周りのモーメント(μ=0)と一致するのだと考えればいいでしょう。これは、x^3が奇関数だから0になるというだけではないのです。当然、4次、偶関数であっても
が成り立ちます。
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