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はじめに
サラリーマンが素粒子論挑戦!→からの→瞬死。
π中間子の質量は約135メガエレクトロンボルトでした。
物理学者になる夢
中学校の1階の奥の静かな図書室で、ブルーバックスなどを読んでいたネクラの松崎です。
竹内薫の「ペンローズのねじれた四次元」。ブライアン・グリーンの「エレガントな宇宙」。あらゆる物質は26次元のひもからできているという、超ひも理論の本です。
そのなかに「カラビ・ヤウ多様体」なるものが。
夢(仮)に向かって、一般相対性理論から始め、質より量とばかりに勉強しました。
大学・大学院・挫折
結局僕は成績が悪く、物理学科には行けませんでした。
進学した学科にはグラビトンひも理論の米谷先生がいらっしゃり、引き続きがんばりました。そこで3人の天才の先輩(F先生・K先生・T先生)に出会い、挫折しました。
私は、プロレタリアートとなりました。
社会人(数年後)
卒業後に出た本を買ったり、社会人向けの塾に通ったり。手元にある素粒子の本は以下のかんじです。なんもわかっていません。
- ペンローズのねじれた四次元
- 微分・位相幾何(和達三樹)
- 図解雑学よくわかるヒッグス粒子
- 素粒子物理学(原康夫)
- 早すぎた男南部陽一郎物語
- クォーク(南部陽一郎)
- 数学に魅せられて、科学を見失う
- リー代数と素粒子論
- 弦理論(ディビッド・マクマーホン)
- 超弦理論とM理論(カクミチオ)
「ペンローズのねじれた四次元」は、当時「皇帝の新しい心」で有名人になっていたペンローズの物理学的業績を一般向けにわかりやすく説明する意図で書かれた、ブルーバックスです。
さすが、高エネルギー物理学から作家に転身した著者だけあって、わかりやすさの中にさりげなく高度な話題が見え隠れしています。
1章特殊相対論、2章一般相対論、3章量子力学、4章ツイスター、5章ウィッテンという勢いで気さくに解説してくれて楽しい本です。
特に、ペンローズがテンソルの微分に用いていたオリジナル記号が付録として付いている点は面白いです。
5章、ウィッテンの結び目理論が出てきて、突然わけがわからなくなります。
「微分・位相幾何」は、ペンローズのねじれた四次元の巻末に引用されていた教科書です。著者の和達先生は、結び目理論の物理学への応用で活躍された方です。このサイトだと人気がある方の記事なのですが、β微分を教えてくれた国場先生の、お師匠様です。
全体的に分かりやすいですが、どうもファイバーバンドルの説明は分からなかった、という記憶があります。
私はあまり頭がよろしくなく、基礎的な1例を徹底的に解説してくださるこの類の本が大好きです。
和達先生の最終講義が公開されていました。感謝です。「研究に困ったら磁場をかける」が名言すぎます。
「図解雑学よくわかるヒッグス粒子」は、ヒッグスのノーベル物理学賞受賞直後に出版された本です。さすがになんもわかりませんが、ヒッグス機構が相転移だということが私でもわかるように図解されており貴重です。
すみません、嘘つきました。わかりませんでした。
「素粒子物理学」は、クォーク理論を提唱したマレー・ゲルマン先生の研究室にいらっしゃった、これまたビッグネームの原先生によるご著書です。
この本は物理的な実験結果と対照しながら、素粒子物理学を学ぶことができます。
この本が素晴らしいのは、歴史を追って素粒子が次第に発見されていく様を、ワクワクしながら、ある程度厳密に学ぶことができ、素粒子の標準模型を覚えられることです。
- π中間子
- 電子ニュートリノ
- μニュートリノ
- τニュートリノ
- Wボソン・Zボソン
- グルーオン
- クォーク
- 中性Κ中間子・中性Β中間子
- ヒッグスボソン
- フェルミオンの世代の謎
このような順番で、数式や実験結果とともに説明される標準模型は、標準模型を丸覚えするのとはやはり体験が違います。
これは塾でお金を6万円も払って教えてもらったので真面目に読んだつもりです。アイソスピンと言う存在を学びました。
「早すぎた男南部陽一郎物語」は、ブルーバックスの歴史書です。
著者の執念・自負を感じる数年にわたる膨大な調査と詳細な事実の記述に唸らせられる、この分野必読の書です。
南部陽一郎が1921年に生まれ、イジングモデルを解き、量子色力学を創始し、1968年にハドロンひも理論を構築、2008年にノーベル物理学賞を受賞、2015年に94歳で没するまでが語られます。
南部陽一郎は死の直前に、「超対称性粒子は存在しない」という予言を残し、流体力学の研究をしながら亡くなったそうです。
「数学に魅せられて、科学を見失う」は現代の素粒子研究者による後悔の書です。数学的に美しすぎ、多くの研究者を惑わしてきた超対称性理論が誤謬であり、1兆円を無駄にした可能性があるという不都合な可能性に切り込みます。
超対称性理論のことしか書いていない上に、色々な前提が省略されているという読後感です。また、出口はなかなかに希望がないような気がします。
それでもこの本が素晴らしいのは、私達が一生知り得ない、「素粒子物理学者コミュニティの認知バイアスと傲慢さ」について教えてくれるからです。
いわば、研究の生々しさがあるのです。
すみません。したことがなくわからないので、ある気がする、にさせて下さい。
この生々しさは、ワインバーグら14人の学者へのインタビューに基づいております。
インフレーション宇宙のモデルが193通りあり、少なくとも192通りは間違っていることが分かっているのに、新しいモデルがまだ歓迎されると言うのは衝撃的です。
2光子共鳴・WIM粒子・超対称性・アクシオン全てが発見されないまま、この本は執筆を終え発行された。と結ばれます。
「クォーク」
南部先生はこういう語り口だったのか、を実感出来ます。頭の回転が速く、簡潔にズバッと言うスタイルに見受けられます。
宝物に取っておきます。
「リー代数と素粒子論」
この本では、具体的にSU(5)などを垣間見ることができます。ありがたや…
キリング形式やらカルタン分解やらディンキン図形やらが出てきます。
258ページ目でE_8など聞いたことある例外リー代数が出てきまして、
289ページ目でU(1)ゲージのラグランジアンが書かれまして、湯川項などが出てきて、303ページ目でヒッグスモデルが出てきて、307ページ目でワインバーグ・サラム理論が、321ページ目でジョージアイ・グラショウのSU(5)モデルが出てきます。そしてお待ちかね、南部・ゴールドスタイン粒子がご登場。
この本を真面目に勉強すれば、ある程度素粒子がわかるようになるのでしょう。
大統一理論の中ではSU(5)は陽子崩壊の寿命が短いことで反証されていて、E_8とかSO(10)が検討されていると、wikipediaに、書いてありました。1983年の本ですからね。
「エレガントな宇宙」
ウィッテン様を崇め奉る本です。元考古学者のフィールズ賞(ノーベル賞の数学版)受賞者です。
私が、厨二病になった、きっかけの本です。ベストセラーでしたが批判されています。
この本の著者は、ザビーネさんによると、次の本で9つもの多宇宙解釈を全部褒め称えるようになるので(どれも根拠がない上、正解はひとつしかないはず)、不誠実でダメだそうです。
「弦理論」
無理です。
「超弦理論とM理論」
もっと無理です。
徒歩通勤してた時に、これの最初の2ページの写真をとって、毎日眺めていましたが、1年経っても3ページ目より先に進むことはありませんでした。
結局素粒子論は理解できるのか
理解できません。
残念ですがまぁ、無理なものは無理なわけです。
学生の頃真面目に読んでいて挫折した本たち(消失)を真面目に読み返せば、その理由はわかるはずです。色々わかっていません。
例えばワインバーグは、1年かかっても1冊も読めなかったですから。それが、なんと、6冊も。悲しくなるだけです。
嗚呼。。。
生涯学習は寿命とご相談
頭がそこまで良くないので、長い時間がかかるのは、まぁ仕方ない。でも、下手の横好き、とも申します。主観的に楽しければ、まぁそれで良い。
問題は、いつ、何年を投下するか、です。
私の場合は、老後2000万円問題に向けて、まずは貯金を頑張る日々です。
いつか縁側で将棋を指すように、素粒子論を読み耽るおじいさんたちが公園に溢れるかもしれませんし、そのひとりは私かも、しれません。
30年後に、お会いしましょう。