p1~p16で分かったこと:
複素関数論は、複素数集合に、位相・代数・順序を入れたもの。絶対値の概念が最も重要で、絶対値により完備な距離とそれによる位相、順序構造が入る。
代数学の基本定理
複素n次関数には複素数も含めれば根はn個ある。
複素平面上の解析関数を考えるとは、べき級数で関数を定義しなおして、収束半径を論じることである。
絶対収束
絶対収束級数の項を任意に纏めなおしたり、順番を変更して得られる級数も絶対収束して、和の値は変わらない。
とくに、(全複素平面上で絶対収束)を分割して、以下の2つの式が得られる。
sinの因数分解
三角関数sinは、周期関数で、毎に0になる。オイラーは次のように因数分解出来ることを発見した。
これを計算しての係数を比較すれば、次の公式を得る。
このように、複素平面上の関数から、実数だけでは説明できない公式がどんどん生まれていった。
p17~p48で分かったこと:収束半径・べき級数の操作・解析接続
収束半径
任意のべき級数
について、必ずあるが存在して、において絶対収束、において発散する。これを収束半径と言う。収束半径上では、挙動は不定。
ここで注意、各係数にをかけても、収束半径がに狭まるだけで、収束する。これは驚くべきことに思える。
収束半径を計算する方法が2通りあるのでこれらをひたすら練習する。
- 係数比判定法
微分
べき級数の微分は以下の等式を満たし、さらに収束半径も変わらない。
一見当たり前に見えるけど、昔はなぜ項別微分できるのか分からなかった。
今回勉強しなおして、誤差を上から押さえるのに上の収束半径の計算を使うことが理解できた。
べき級数への操作
べき級数は、積・合成・逆関数という演算に関して代数構造を持っている。但し、
- 各演算により、収束半径が変化すること
- 定数項を持つべき級数に許されない演算があること
に気をつける。この代数は、結局べき級数の係数の代数に落とされる。
例:
を解くことは次と同値である:
解析接続
zのべき級数を点z=cの周りで展開しなおすと、(z-c)のべき級数となる。任意の点でべき展開可能な関数を解析関数と言い、べき級数は解析関数である。ここまでは自明だが、この収束半径はであり、元の収束半径をはみ出している。
しかも、一致の定理から、この領域で絶対収束する解析関数は1通りしかない。
これを繰り返し、発散する領域を除き、あらゆるべき級数は全複素平面上の関数に1通りに拡張できる。この関数を、(複素平面への)解析接続という。
解析接続は一般には多価関数になる。例えばlogや、累乗は多価関数になる。多価関数は、主値と分枝のセットと考えることも出来る。
応用
これで確率の特性関数やモーメント母関数、キュミュラント母関数は怖くなくなったので、一旦この本はここでストップ。
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