存在への問いにはいまだに明確な答えが無いし、そもそも問題設定さえ欠けている。だが、問題の特徴を§2で考えてみて、これが特有の問題であることが分かったと思う。
実は、存在への問いは、最も原理的で具体的な問いなのだ。原理的であるとは、実証的な諸学より根本的であることがまず一つだ。
あらゆる学問の進歩は、その根本概念が転倒されることでおこる。そして真の学問はその危機に耐えうる。例えば数学が経験した数学基礎論の危機、物理が経験した相対性理論の衝撃がそれである。
根本的な存在への問いはこれらの進歩に先行しうる。それはアリストテレスやカントが証明した。そしてこれらの転倒を基礎付ける。