要約
私はさらに深く考え、
「わたしは考える、だから私は存在する」
というこの命題には、これが真理だという確信を抱かせるものは、この命題の明証性以外には何もないことを発見した。
私は、いま真実であることが確実な命題を一つ発見したのだから、この確実性が何において成立しているのだろうと考えたのだ。
私は、ひとつの命題が真実であるために必要な条件を一般的に考えた結果、明証性、つまり「我々が非常に明瞭かつ判然と心に思い描くもの」は全て真実であると考えた。
ただし、判定の困難性、つまり我々が判然と心に描くものが何であるかを明確に定義することの困難性は残った。
解説
デカルトの予想に反し、明証的なものは真理とは限らない。
デカルト自身、§2-4で明証性は真理の必要条件であると言っているのに、ここでは真理の十分条件であると主張しており(第三段落)、論理が飛躍している。
だが、人間は明証的なものを真理と信じて迷い無く生きるのが一番良いのかもしれない。