§3-2 一度決めたらやり切ること

要約

私の第二の格率は、自分の行為に断固かつ毅然とした態度をとることで、極めて疑わしい意見でも、一度決心した以上は、それが極めて確固とした意見であるかのように一貫することであった。

私は森のなかで道に迷った旅人をまねた。彼らはあちこちに方向を変えてぐるぐるさまよい歩いてはならないし、一か所に留まっていてもいけない。彼らは偶然にしろ一度決めた同じ方角に向かって絶えず歩き続けなければならない。
そうすれば、彼らは少なくともどこかへは行き着くはずであり、それは森のなかにいるよりはましだからだ。

実生活上の行為は一刻の猶予も許さないが正解はわからない。だから一番それらしい意見に従わなければならない。
我々は結局はどれかに決心しなければならない。
そして、それに決心させた根拠は真実で確実なものなのだから、迷いが生じても、一貫して行動しなければならない。
このことは、迷いによって生じる後悔や良心の呵責から、私を解放する力を持っていた。

解説

デカルトの選んだ生き方は、ひょっとしたら何も生み出さない生き方かもしれなかった。前章では、「闇の中を独り行く」生き方だと書かれていた。それでも、一度決心したことを続け、デカルトはどこかにたどり着いた。

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