科学の成果がこれほどまでに安定していて、根を下ろしているのは驚嘆である。
これまで、安定は不自由なものだった。人間は習俗の倫理によって、どうしようもない必然性につなぎ止められて来た。そこから逃れようとして、童話や妖精譚を求めたのだ。人間は浮遊し、想像の世界で乱行にふけった。
科学によって、踏みしめた大地の幸福はこれとは異なる。難破に巻き込まれた者が陸地に上がって、もはや揺れていないことに驚嘆しているのだ。
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