解説
2章では、サザーランドのキャリアが空軍時代を皮切りに長々と語られる。あえて要約はしない。その中から最も重大なイベントを抽出するとすれば、
「ブルックスとの出会い」
であると思われる。
ロドニー・ブルックスは自律ロボットの研究者で、ルンバのirobot社の創設者である。
https://ja.wikipedia.org/wiki/IRobot
ブルックスがサザーランドと出会った1986年当時、彼は蜘蛛型の自律ロボットを開発していた。それを見たサザーランドが、
「人間の組織も、この蜘蛛の足のように自律的に動かせないかな?」
というテーゼを思いついたのが「スクラム」の誕生のきっかけだったのだ。
考察
空軍から統計学者へ、そしてソフトウェア開発責任者へと転身したサザーランド。学者出身の開発者は理想論的で、現実を認めず、頑固で使えないというイメージが、例えば「闘うプログラマー」などで語られている。
しかし、スクラムにおいては、サザーランドは理想論を押し通し、定着させる胆力と実務能力を兼ね備えた姿がこの章では描写されている。
この、理想論と現実との折り合いを付けるということができる人は、そうそういない。