要約と解説
FBIでは、情報共有の不備が同時多発テロを招いたという反省があり、それを起因にして、情報システムの刷新プロジェクトが発足した。
FBIの情報システムの刷新は何度も失敗した。
- 結果として2010年に成っても、FBIは紙運用のままだった。紙を印刷し、赤ペンで自分の文章の単語に丸をつけ、インデックスを作り、手動入力していた。
- 2001~2004: 予算1億7000万ドル。「Virtual Case Fileシステム」開発打ち切り。
- 2005~2010: 予算4億5000万ドル。「センティネルシステム」開発打ち切り。
センティネルのガントチャートは全くの作り事で、事態は修復不可能だった。
要求項目は1100項目で、印刷すると10センチになった。ソフトウェアの価値の8割は、2割の機能で成り立っている。優先順位をつければ200項目で済むはずだった。
ジェフはスクラムという武器を持って、2010年3月に2012年7月に開発の立て直しに着手した。開発人員は8割削減し、少数精鋭にした。そして、センティネルは動いた。
2013年1月、ある口座に不正侵入があった時も、システムはノータイムで情報連携し、送金先国の警察を動員し、送金を未然に防ぐことができた。それは、紙と赤ペンでは成しえなかった。
考察
この章の目的は、「スクラムはいいものである」というイメージを読者に納得させることだと思う。この章であげられている、FBIのダメな点は、以下のようなものだ。
- 紙運用の非効率性
- プロジェクトの破綻
- 虚偽のガントチャート
- 上流工程の非効果性(8割の機能が不要である)
- 外注に頼りきった下流工程(開発)の非効率性(8割の人員が不要である)
日本のIT現場のダメな点とそっくりではないか。