§13 権力感情の理論

人は快楽には安住するが、苦痛に対しては常に原因を探す生き物だ。だから、我々は服従させたい相手には苦痛を与える。すでに相手が服従しているなら、快楽を与え、支配の恩恵を教育するのだ。

しかし、我々が苦痛を与えるということは、まだ我々に十分な権力が無いからでもある。だから、他人に苦痛を与えることで満足できるのは、権力に貪欲な人間だけである。

権力に貪欲であるかどうかは、その人の好みの問題である。ただ、誇り高い人間は、たやすく屈服する獲物を唾棄する。悩めるものに対しても冷淡だ。自分より上か同格の敵に対してのみ敬意を払う。これが騎士道の起源である。逆に弱者への同情は、娼婦の徳である。

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