§8 プログラムは夜出来る

オフィス環境が悪いから、「プログラムは夜出来る」。このことを証明するデータがある。

トム・デマルコとティモシー・リスターは、1984年から「プログラミングコンテスト」という競技を行い、データを取っている。

  • 同一企業のプログラマー2人1組をチームとする
  • 共通の仕様書に基づいて中規模プログラムを設計開発する
  • 2人のプログラマは作業を分担せず、全く同じ作業をする
  • 各チームは一箇所に集めず、彼らの企業の自席で作業をしてもらう
  • プログラムをテストするプログラムは決まっており、残存バグ個数を検出し作業時間とあわせて計算してスコアを出す

結果

  • 最優秀者の成績は最低者の約10倍
  • 最優秀者の成績は平均値の約2.5倍
  • 上位半分の成績の平均は、下位半分の成績の平均の2倍以上

分析により、以下の要因が生産性に関係が無いことが分かった。

  • プログラミング言語
  • 経験年数(10年選手も2年選手も同じ。半年以内の新人は論外として除外した)
  • 残存不良数
    これは、バグ0だったチームは、作業時間も短かったということである。
    つまり、品質を高めるために、生産性を犠牲にするという事象は起こっていない。
  • 年収

では最大の生産性決定要因は何か?それは

  • どの企業で働いているか
    つまり、
  • オフィス環境

である。その証拠に、同じ企業に所属する2人の生産性の差は高々たった21%に過ぎなかった。つまり、最優秀企業の成績は最低企業の約10倍なのだ。

意外な結論

なんと、最終的にはオフィスの人口密度が相関することが分かった。上位1/4の一人当たりのスペースは7.0平方メートル、下位1/4のスペースは4.5平方メートルだったのだ。以下の条件が有意な相関であった。

  • 一人当たりのスペース
  • 静かさ
  • プライバシーの確保
  • 電話の消音機能の有無
  • 電話の転送機能の有無
  • 無意味な割り込みが少ないこと

これらが保障されないオフィスでは、人が居ない夜中や早朝、もしくは休日にプログラムが出来上がるのである。

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