§10 頭脳労働時間 対 肉体労働時間

知的労働者の生産性が最高になるのは、1人で作業をしているときだ。2人以上の作業は、次の仕事の準備や休憩のようなものだ。

1人になることが必要なのは、心理学で言うフロー状態の恩恵にあずかるためだ。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%AD%E3%83%BC_%28%E5%BF%83%E7%90%86%E5%AD%A6%29

フロー状態になるには15分以上の集中過程が必要で、割り込みがあればその状態に戻るのに15分を要することになる。電話の応対に5分、フロー状態に戻るのに15分とすれば、一日20回電話がかかってくれば丸一日潰れる計算になる。この状態では、肉体労働時間は8時間だが、頭脳労働時間は0時間である。

E係数

「割り込み無しの時間数」÷「肉体労働時間」をE係数(環境係数)と呼んで測ってみると、同一企業内であっても部署が違うと大きく異なっていた。ある政府機関では最高0.38、最低0.10であった。これは、最高の部署では最低の部署の3.8倍の時間長く働けることを意味する。そして、これは部屋の面積に比例していた。

つまり、オフィスの家賃をケチる意味は無い。

E係数を根気良く測定することで、周りの人間が労働時間に対して持っている考え方を真摯なものに変えることが出来る。管理職がE係数を見る必要はない。優秀なエンジニアはそれに気づけば、自分で自分を改善していけるのだ。

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