退職コストの算出
目に見える退職のコストは、
採用コスト+立ち上がりにかかる期間(半年)分の人件費
である。これは、全人件費の約20%にも及ぶ。
しかし、さらに目に見えない退職のコストも存在する。退職率の高い企業では、誰も長居しようとしないから、誰もが短期的に物事を考える傾向にある。すると、どうなるだろうか。
- 優秀な人材を辞めさせないために、彼らを異様に速く昇進させる。
- 職制ピラミッドの最下層の人々がすぐ退職してしまうため、管理職が異常に多くなる。
(例えば、40年の会社生活のうち5年目に管理職になった場合、15%の平社員が85%の管理職を養っている) - そのあおりを食って、平社員の給料が水準以下になる。
- 悪い待遇の下で、入社2年以内の社員が製品を開発するため、品質が著しく劣化する。
コメント:過去に私が在籍していた企業には、これら全ての点が当てはまっていた。
退職の理由
退職率が50%を超えてしまうような会社では、退職のほとんどが次の理由である。
- みんなが会社を腰掛けと考えている。
- 会社が従業員を使い捨てにしている。
- 従業員のロイヤリティが低い。
コメント:過去に私が在籍していた企業には、これら全ての点が当てはまっていた。
移転という自殺行為
さらに、本社移転によって退職率を跳ね上げる愚かな企業がある。
彼らが完全に無視しているのは女性の存在である。男性の従業員にも、引っ越せない事情の配偶者はいる。
その結果、本社移転は、第一次世界大戦の塹壕での死亡率よりも高い退職率をしばしば叩き出す。
永続性のメンタリティー
退職率が極めて低い組織はそれぞれ独特な個性を持っているが、あえて共通点を上げるとすれば、それぞれがベストの職場を作り出そうとしているということだ。
ベストな職場を作る努力は、長期的視点無しにはなしえない。
最良の組織には、永続性のメンタリティー、つまり、
「他の会社に移ろうとするやつはバカだ」
という空気が漂っている。