§17 自己修復システム

作業規定の問題

決定論的システム、要は様々な作業規定でがんじがらめになった組織では、自己修復能力が失われている。それは、予定外の事態に柔軟に対処し、ルールを柔軟に変更していく能力である。

作業規定に従うことは思考の放棄である。思考しない人がいい仕事を出来ないのは言うまでもない。

作業規定は組織の柔軟性を失わせ、人の思考能力を下げるだけではない。そもそも分厚い作業規定など誰も読まないのである。作業規定の理想はA41ページである。結局、技術者をバカだと思って信頼しないから、分厚い作業規定を作って安心しようとしているだけだ。

さらに、作業規定は責任感を失わせる。仕事が悪い方向に進むのは、作業規定が間違っているからだ。失敗することをうすうすわかっていながら知らないふりをして規定通りに作業をする人間がいる。これが「悪意の追従」である。

代替案

作業規定を作るのは最終手段であり、目的のみを共有し、以下のようなやり方で、ゆっくりと業務の最適化を促すべきだ。

  • 教育研修 本当にうまくいくやり方を教えてもらえば、人は皆そのやり方を使うようになる。
  • ツール 本当に便利なツールだったら、人は皆それを使うようになる。
  • レビュー レビューをすることで、知識が共有され、自然に手法が統一されるようになる。

作業規定を作らなければならないとき

デュポン社は、作業規定を次のように定義している。

社内で、繰り返し作業を実施してうまくいくことが証明され、広くデモンストレーションされている方法

目新しいだけで、やったことのないものを作業規定にするのは愚かだ。

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