財産が多いことは幸福であろうか?そうとは限らない。
要求と財産とは相対的なものであるから、たとえ金持ちでも、要求が財産より大きければ満たされず、不幸を感じる。
要求はどんどん大きくなっていく。どうしてだろうか?
それは、人間が要求の増大に慣れてしまうからである。富は海水に似ている。それを飲めば飲むほど、喉が渇いてくる。
要求が「次第に」増大していくものであることは、貧乏人の例を見てもわかる。ある貧乏人が金持ちの莫大な財産を見ても、心を動かされることはない。現状とかけ離れすぎていて、ピンとこないからである。むしろ、この貧乏人はちょっとした富に対してはうらやましくて仕方がない反応を示す。