§48 歴史画・宗教画

人間の3種の美のうち、性格は歴史画において最も良く描写される。

芸術においては行動の内的な意義深さが、歴史においては外的な意義深さが重要であり、この両者は無関係である。

だから、単に歴史に取材して、イデアの伝達に失敗した作品は芸術ではない。学者のみがそうした作品を好む。

我らの起源はユダヤ人の歴史である。ユダヤ人の歴史から画題を採った作品は、不幸なことに殉教者や陰惨な事件が多くなってしまった。これらは本来画題としてはふさわしくない。とはいえ、本来のキリスト教絵画とこれらの作品は明確に区別されるべきである。

キリスト教精神に取材した、ラファエロやコレッジョの作品は、救世主の眼のうちに完全な認識の出現を表現した。これらの作品は意志を鎮める鎮静剤となっている。これが芸術の頂点であり、意志が自分で自分を廃棄する姿を描いている。