§13 笑い

抽象的な知は、むしろ直感的な知には厳密には一致しない。(微細な変化形態を捉えることは出来ない。)

笑いをこの観点から説明しよう。

ある種の笑いは、あるものについての「概念」と、「直観的な表象」のギャップが知覚されることにより生じる。
特に、日常的に隠されていたギャップがにわかに強調された際に、笑いは生じやすい。
この結果、笑いは

  • 逆説的である
  • 思いがけないものである

といった特徴をもつ。

「概念」を理性により杓子定規に適用して愚行を行う場合が「ペダントリー」である。
ペダントリーの徒が硬直した格率を人生のあらゆる場面で適用するたび、
いつもどこか足りないところが出てきて、野暮で、愚かで、役に立たないことになる。
ペダントリーの徒は芸術に向いていない。
「道徳的」なペダントリーは、もっと始末におえないものである。(カントや『政治学者』に対する批判)

二つの異なる「直観」を恣意的にひとつの「概念」にくくりいれ、
ギャップのおかしさを楽しむものが「機知」である。
わざと二重の意味に受け取られる言葉を使って猥談を行うことも、「機知」の一種である。

「機知」は、常に言葉によって表現される。
これは、愚行が行為として表現されるのと対照的である。

この他、身体の方面から笑いを観察した結果を、パレルガ2巻6章96節にしるしておいた。 

§13:笑いの分類

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