まだいかなる化学的差異も発生していないほど遠いところまで原因と結果の鎖をさかのぼって考えて、無機的な自然界について考えよう。そのような世界の意志の客観化を決定づけるのは、牽引力と反撥力の間の闘争である。
牽引力はは重力のこと、反撥力は物体の不可入性のことである。牽引力におけるこの休みのない衝迫、反撥力におけるこの休みのない抵抗は、最下位の段階における意志の客体性である。
最下位の段階においては、意志が盲目の衝動として、暗鬱で朦朧とした騒乱として立ち現われている。このような盲目の衝動は直接認識することのできない相手(表象ではなく意志)である。無機的な自然界においては、あらゆる根源的諸力において、意志はこのような盲目の衝動として現象する。