詩は化学のようなもので、概念を組み合わせると、そこにイデアが沈殿して来るかのようである。
詩は時間芸術で、リズムと押韻という武器を使うことで、あらゆる判断に先んじて我々の盲目的感情に訴えかける。
詩はあらゆる段階のイデアを描写できる。しかし、特に人間の描写に向いているのは、時間の経過とともに行動や性格を描写可能だからで、他の造形芸術は詩と渡り合うことは出来ない。
詩は、歴史書よりも、歴史の描写において真実性がある。歴史家は、後世への影響を判断する必要性に迫られているので、根拠の原理に縛られ、イデアを認識出来ない。しかし、人間のイデアの描写こそ、歴史の伝達に必要なものである。古代の歴史家は実際、優れた詩人だった。
自伝は歴史書よりもましだが、詩には及ばない。