最終章は行為の哲学である。ただし、我々のものを含め、行為の哲学は実践的になりえないことは注意するべきである。その人の行動を決めるのは概念ではなくて、その人の本質である。丁度、概念が芸術に寄与することが無いのと同じではないか?哲学で有徳者を作ろうとするのは、美学で芸術家を作ろうとするのと同様に不毛である。
また、私は総じてこのようにすべし、と言うことも言わない。そう言うことは子供に言うべきことで、自由意志をもつ成人に言うことではないからである。
行為という人間の本質で説明されるべきことを、歴史のような個別的なもので説明する態度も間違っている。
我々の目的は意志の哲学により行為を解釈説明することである。我々は、自己啓発や宇宙進化論には興味が無いのである。