§47 情熱の抑圧

情熱の「表現」を粗野で野蛮と見なして抑圧すると、遂には社会から情熱そのものが失われてしまう。ルイ14世の宮廷でそれは起こった。

我々の時代は今やその対照である。実生活でも芝居でも文学でも、情熱の粗野な爆発への喜びが見いだされる。我々とその子孫はやがてこうした情熱の「表現」だけでなく、本物の情熱を手に入れるだろう。

§9 我々の噴火

我々には太古から受け継いだ微弱な独自の性質が無数にある。

それらは長い年月で強化され、火山のように突然数世代後に噴火する。

先祖を振り返れば、ある才能や、ある道徳が全く欠けているかのように見えるだろう。それは、その時代に余りに微弱だったものが、現世代で噴火したからである。

逆に、今の時代に微弱なものが、早ければ子の世代で噴火することだろう。父親は息子を見てはじめて、自分自身を理解することになるだろう。