要約(p15~19)
悲嘆に暮れたツァラトゥストラは乗船後2日間心を閉ざしていたが、乗船者の冒険譚に共感するうちに舌は緩み心は氷解した。彼は自分の体験を打ち明けよう、といった。
ある夕闇の登攀、「重力の魔」が肩にのりこういい続けた。
「おお、ツァラトゥストラよ、あなたは知恵の石だ!あなたはあなた自身を高く投げた
― しかし投げられた石はすべて - 落ちる!」
彼は登攀の間悩まされ続けた。しかしついに勇気を出し、覚悟を決め、生を肯定し、魔の小人に対峙した。
ちょうど門のあるところに来ていた。小人は肩を飛び降り、目の前の石に腰かけた。
解説
投げられた石が人々の仰ぎ見る星を破壊し、しかし元の石に落ちる。
この光景は、ツァラトゥストラが真理を悟り、既存の概念を打ち砕いても、人々には何の影響も及ぼさず、かえって絶望して自己を破壊するという未来のメタファーとなっている。