§40 高貴な外見の払底

兵士の上官に対する畏怖が 、労働者の雇用者に対する畏怖より大きいのは、大衆の奴隷根性が原因である。大衆は、より高貴な外見の者に命令されたがる。産業界の雇用者は、狡猾で貪欲で人の不幸につけこむ人間の屑くらいに思っているのだ。これが軍事が産業より高貴である理由である。

§36 末期の言葉

皇帝が死ぬ時、仮面をかぶってきた人生を告白する。アウグストゥスも、ネロも、末期の言葉は俳優の駄弁であった。

ティベリウスは沈黙のうちに死んで行った。彼こそは本物だったのだ。しかし、彼が持ち直そうとした時、周囲のものは気を遣って、枕で彼を窒息させたのだった。

§31 商業と貴族

かつて野生においては誰もが狩猟者だったが、今では貴族の贅沢である。

今誰もが売り買いをしているが、やがて貴族の贅沢になるだろう。これまで戦争や政治がそうであったように、貴族が喜んで従事するのだ。

逆に政治はどんどん卑俗になり、精神の淫売の烙印を押されるだろう。

§30 著名人の喜劇

名声を必要とする、例えば政治家などの人々は、さんざん他人の人格を利用する。いろんな人の人格の反映のご利益を望む下心があるからだ。彼は栄え、その周りは荒廃してゆく。

彼らの名声は絶えず変化する。彼は変転するやり口を好むからだ。
しかし、彼が真に望むものは堅固で、遠くまで光を放つはずだったのだ。今度はそのための舞台演出が必要になってしまう。